山本貴志×佐藤卓史 対談2017
(1) ワルシャワ最新外食事情
2008年以来2度目の対談。前回同様、結局食の話題になる二人。
途中に登場するM氏は2017年さいたま公演プロデューサーです。
- 佐藤
- ポーランドに拠点をまた移してからどのくらい?
- 山本
- ええと、2014年の秋からだから、2年半ぐらいかな。
- 佐藤
- そうかぁ。向こうではどんな感じで? 結構忙しい?
- 山本
- あるときはわっとまとまってあるんだけど。コンサートで弾くといつも思うのは、向こうのお客さんが、本当に好きで聴きたくて、日々の癒しとか、そういったもののために来ている人がほとんどっていう。
- 佐藤
- うん。
- 山本
- お客さんの反応も違うし、もちろんおしゃれして、スーツとか着てらっしゃる人もいれば、うちから歩いてきたみたいな感じの人もいれば、本当にいろんなタイプの人がいるんだけど、でも雰囲気はものすごくリラックスしていて。だからステージに出ても、変な緊張をしないっていうのが、すごく有り難いなって。
- 佐藤
- あ、それは確かに、ドイツもそうだった。
- 山本
- やっぱりね。そのあたりは、きっとクラシック音楽の歴史が長いっていうこともあるのかもしれないし。それには本当に助けられているかな。
- 佐藤
- ワルシャワ以外のポーランドとか、他の国とかでも演奏会はあるの?
- 山本
- 時々。この間もドイツとスロヴァキアに。
- 佐藤
- へえ。ドイツはどこ行ったの?
- 山本
- ええとね。シュトラルズント(Stralsund)かな。
- 佐藤
- ああ、北の方の。良いところだね。
- 山本
- そう、海沿いのね。すごく良いところで、名物のお魚もとてもおいしかった。その次はそのままブラティスラヴァに行って。
- 佐藤
- ブラティスラヴァはウィーンから近いね。
- 山本
- そうだね。佐藤君はウィーンのおうちはそのまま?
- 佐藤
- そうそう、一応キープしてるんだけど。最近はもう、ウィーンには本当にたまーに行くだけなので。小さなところで演奏会させてもらったりとかして。
- 山本
- でも自宅があるといいよね。
- 佐藤
- 今はマンション?
- 山本
- アパートの1階に楽器を置いて。
- 佐藤
- 前に住んでいたところとは違うの?
- 山本
- そう、学生のときとはまた違って。でも、周りは割と緑が多くて。ワジェンキ公園からもそんなに遠くないかな。歩こうと思えば歩けるぐらい。
- 佐藤
- へえ、いいねえ。
- 山本
- 歩いて20分ぐらいかな。日本だと普段、練習の合間に外出たりとかってしないよね。
- 佐藤
- うん。
- 山本
- 休憩も取らずにワーッとやって、終わったら夜になってしまうっていう感じなんだけれども。向こうだと、法律で夜の10時までは弾けることにはなっているんだけど、上の階に家族連れが住んでいたりするので、夕方ぐらいにもうやめて、明るいうちにちょっと公園にお散歩に行くとか。
- 佐藤
- いいね。
- 山本
- だから生活のリズムが日本とまた違って。
- 佐藤
- ワルシャワは最近結構変わった?
- 山本
- そう、なんか全然見覚えのない建物があったりとか、あと、レストランがすごく増えてきて。
- 佐藤
- へえ!
- 山本
- ポーランドは、夕食を外で食べる習慣っていうのがもともとあんまりないところなので、伝統的には夕食も朝ご飯と同じようなものを食べているんだけど。
- 佐藤
- パンと野菜だけとかね。ドイツもそうだった。
- 山本
- でも、最近は、周りの国の影響も受けて、割と夕食を外で食べたりするようになってきて。すごくおしゃれなお店が流行ったりして。
- 佐藤
- へえ、そうなんだ。高いの?
- 山本
- ものによるかな。たぶん内陸の国ってどこもそうだと思うけど、お肉系はやっぱり安い。手頃。
- 佐藤
- まあそうだね。
- 山本
- で、魚系になるとやっぱりそれなりにするかなあっていう。
- 佐藤
- 伝統的なポーランド料理なの?
- 山本
- いや、ポーランド料理って基本的には家庭料理だから、それは外では食べないね。ポーランド料理を食べたければうちで作って食べる。
- 佐藤
- じゃあ外でっていうと、フレンチとか?
- 山本
- 外だったらもう、みんな行くのは、イタリアン、メキシカン・・・
- 佐藤
- メキシカン?
- 山本
- あと最近スシバーもすごく増えて・・・。でも、一番人気があるレストランは、どこだと思う?(笑)
- 佐藤
- え、どこだろう?
- 山本
- 日本にもあるところ。チェーン店なんだけど。
- M氏
- マックじゃないの?
- 山本
- 似た感じです。そういうチェーン店。
- M氏
- ケンタッキー?
- 佐藤
- えー、なんだろう? バーガーキング?
- 山本
- そういう感じの、まあパンの一種みたいなもの。
- 佐藤
- パン・・・サブウェイ?
- 山本
- ええとね、ピザ。ピザハット。
- 佐藤
- はあ、ピザハットね!
- 山本
- 向こうの人はピザとかハンバーガーとかがものすごく好きで、やっぱりパンを使っているから、全部サンドイッチの一種みたいな感じなんだろうね。
- 佐藤
- なるほど。
- 山本
- 日本だと宅配ピザのイメージがあるけど、そういうところを外食に使うっていうところが、まだちょっと外食文化がそこまで・・・
- 佐藤
- え、ピザハットのお店に行ってそこで食べるの?
- 山本
- そう、そこで食べるの。テイクアウトの店じゃなくて、ショッピングモールみたいなところの中に、ピザハットのレストランがね。みんなそういったところで。
- 佐藤
- (笑)いや、ハノーファーにいたときにピザハットがやっぱりあって、人気だったんだけど、ものすごい脂っこいの。
- 山本
- そう?
- 佐藤
- テイクアウトしてね、段ボールのあの箱に入れてもらって、持って帰るともう下がぐしょぐしょになってるぐらい、とにかく脂っこくて。
- 山本
- どういう作り方をしてるんだろうね。
- 佐藤
- 揚げてるんじゃないかなって(笑)
- 山本
- 揚げピザ(笑)まさかね。もうだから、本当に外食っていっても、ピザハット、マクドナルド、ケンタッキー・・・。
- M氏
- 結局はアメリカンだ。
- 佐藤
- そうですね。ファーストフード的な。
- 山本
- そういうところが幅をきかせているのがちょっとねえ。
- 佐藤
- まあそれはどこでもそうかもしれないけどね。
- 山本
- でも、それとは別に、日本の人がやってるうどん専門店もあって、予約なしだと入れないっていうぐらいの大人気。
- 佐藤
- ほう。
- 山本
- ちゃんとした手打ちの讃岐うどんで、天ぷらもおいしいし。デザートも抹茶アイスクリームだとかパフェだとか、そんなのもあって。
- 佐藤
- なんか、前に対談したときにさ、大根の天ぷらの話したよね。
- 山本
- 大根の天ぷら(笑)そう、未だにそういう怪しい、似非みたいなものが顔を出すことも時々。
- 佐藤
- (笑)そうなんだ。
- 山本
- 一番おかしいのはね、和食とかスシバーとかそういったところのお店の名前が、完全にこれ誤解してるっていうね。
- 佐藤
- たとえば?
- 山本
- ええとねえ。なんかすごくおかしな名前のところがあったんだけど・・・ああ、今出てこないけどね。すごい変なのがあった。びっくりしちゃって。
- 佐藤
- 日本語の名前なの?
- 山本
- 一応日本風の名前を使っているようなんだけれども、もう明らかに勘違いしているっていう。
- 佐藤
- 外人が着てる変な漢字のTシャツみたいなやつだ。
- 山本
- そう、意味わかってないのにっていう。だからなかなかまともなお店を見つけるのも大変だけれど。それでも地方に行くとそんなお店でも貴重だから。
- 佐藤
- それはそうだね。
- 山本
- 行っちゃったりするけど。
(つづく)