曲目解説  Program Notes

ラヴェル:クープランの墓

 「クープランの墓」は6曲からなるピアノのための組曲で、ラヴェル最後のピアノ独奏曲である。フランス・バロックの大作曲家フランソワ・クープランへのオマージュであるとともに、 各曲は第1次世界大戦で戦死した友人へ1曲ずつ捧げられており、彼らへの静かな鎮魂曲でもある。
 第1曲「プレリュード」は12/16拍子の流麗なアラベスクで、細やかな装飾音がバロックのクラヴサン(チェンバロ)曲を思わせる。 第2曲「フーガ」は緻密で清冽な3声のフーガ。第3曲「フォルラーヌ」は特徴的な付点リズムを持つイタリア起源の舞曲で、ラヴェル独特の変化和音が美しい。 第4曲は「リゴードン」はプロヴァンス地方を起源とする活発な舞曲。第5曲「メヌエット」は、中間部ミュゼットを持つシンプルなメヌエットだが、 再現部では主部と中間部の旋律が同時に現れ、ラヴェルの作曲技術の巧みさがさりげなく示される。第6曲「トッカータ」は急速な連打音から開始される無窮動で、 ラヴェルのピアノ作品中屈指の難曲。
(2004年10月27日「佐藤卓史 2時間ピアノコンサート」プログラムに寄せて)
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