曲目解説  Program Notes

プーランク:エレジー

 フランスの音楽家たちの大パトロンとして名をはせた旧家ポリニャック家の一員で、プーランクの親友でもあったマリー=ブランシュ・ドゥ・ポリニャック伯爵夫人(1897-1958)の死を悼んで1959年に作曲された。 プーランクの作品は軽快ながら人を食ったようなシニカルなものと、人間の深部に切り込むようなシリアスなものの2種に大別されるが、 この「エレジー」は静謐で叙情的なプーランクのもう1つの側面を垣間見せる。奥行きのある和音で彩られた息の長い旋律を2台のピアノが交互に演奏しながら曲は進行する。
 楽譜の扉には作曲者による「このエレジーは、葉巻をくわえ、コニャックのグラスをピアノの上に置いて、あたかも即興のように演奏されるべきである」という言葉が記されている。 ちなみにフランスには「ポリニャック」というブランド名のコニャックがある。
(2008年11月20日「山本貴志×佐藤卓史 衝撃のデュオ」プログラムに寄せて)
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