曲目解説  Program Notes

モーツァルト:ソナタ 第3番 変ロ長調 K.281(189f)

 18歳のモーツァルトが書いた最初の本格的なクラヴィーア・ソナタは、当時の習慣に基づき6曲セットで出版された。その第3曲であるこの作品は、 ハイドンの影響を感じさせながらも、若々しく溌剌とした魅力に溢れている。
 第1楽章は、トリルで始まる優雅な第1主題と鳥の囀りのような第2主題からなり、イタリア・オペラの華やかな様式を思わせる。 「アモローソ(愛らしく)」と指示された第2楽章は魅力的な旋律を持つ緩徐楽章。モーツァルトのソナタで初めてロンド形式が用いられた第3楽章は、 軽快なアウフタクトで始まる可愛らしいフィナーレである。
(2004年10月27日「佐藤卓史 2時間ピアノコンサート」プログラムに寄せて)
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