曲目解説 Program Notes
ミヨー:スカラムーシュ 作品165b
フランスの作曲家ダリウス・ミヨーは「フランス六人組」の一員で、様々な調性を同時に共存させる「多調」の手法で知られている。 第一次大戦中、公使である友人の秘書としてリオデジャネイロに赴き、このとき出会ったブラジル民族音楽に強い影響を受けた。 非常な多作家で、作品の中にはジャズバンドのための音楽や、ハーモニカ協奏曲などという一風変わったものもある。「スカラムーシュ」は、「空飛ぶ医者」のための付随音楽(作品165)に基づいて1937年に書かれた2台ピアノのための作品で、彼の代表作の1つである。 多調音楽になっている部分も散見されるが、全く難解さを持たず、明るく楽しい曲想で広く親しまれている。
第1曲「活発に」 ハ長調を基本に、元気の良いモチーフがそれぞれのピアノで分担される。中間部は行進曲風だが何となくとぼけた味を出している。
第2曲「適度に」 変ロ長調の穏やかな曲。独特の和音の移り変わりが幻想的な雰囲気を醸し出す。
第3曲「ブラジレイラ、サンバのリズムで」 ヘ長調のご機嫌なサンバ。中間部ではそれぞれのピアノに振り分けられたメロディーの絡み合いが楽しい。 ピアノ・デュオのアンコール・ピースとして演奏される機会も多い。
(2004年8月8日「絆 vol.3 デュオの力」プログラムに寄せて)
©2004 佐藤卓史 無断転載禁止
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