曲目解説  Program Notes

フォーレ:夜想曲 第6番 変ニ長調 作品63

 フランスの作曲家フォーレのピアノ音楽はショパンの延長線上から始まった。彼は13曲の「夜想曲(ノクターン)」を残しているが、 1894年に作曲されたこの6曲目のノクターンでは、それまでに見られたショパンの影響を脱し、全く独自の世界が築かれている。 大ピアニスト、コルトーが「ピアノ音楽の中にこの作品と比肩できるものはわずかしかない」と絶賛したのをはじめ、フォーレの最高傑作として知られている。
 冒頭の主題は緩やかで気品に満ち、中間部ではハープのようなアルペジオの上に歌われる透明な旋律が印象的である。 クライマックスの後冒頭の雰囲気が戻り、余韻を残して静かに終わる。
(2004年10月27日「佐藤卓史 2時間ピアノコンサート」プログラムに寄せて)
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